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さいしょのしゅっぴんが
最初の出品画
上村 松園
線上閱讀上村 松園《最初の出品画(さいしょのしゅっぴんが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,831 字 · 6 頁
最後に冬になると、もうずっと年配のいった一女性が雪中の絵の軸物を見ているところを描いたものであった。
どんなところから「四季美人図」の題材構想を考えたかと言うと、別に深い仔細があったわけではなく、万象の萌え出でる春の季から一年中の最も盛んな夏季、それが過ぎ去ってやがて木々の葉がもの淋しく落ち散ってゆく秋景色から、最後にすべての自然が深い眠りのなかに入ってゆく冬の季までのひと歳の移り変わりとを、それぞれ似つかわしいような美人をもって描いた、人間にもある春とか、夏とか、それぞれの年齢を描きわけしてみた、という、まあ言ってみれば極く子供らしい着想で描いたものに過ぎなかった。
絵に対する苦しみとか絶望懐疑といったものが、当時の私には全然なかったと言ってよい。絵の素材を考えたり、そんなことで頭をしぼるのがとても楽しかった。絵というものに苦悩ではなく心から嬉しい喜ばしい気分で接し得られたのである。
その「四季美人図」を描いた気持ちというのも同じようなもので、十六歳と言えばまだ半分は子供心であったわけで、あとから考えてもそれほどたいして頭をひねって制作したものではなかったように思う。