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とうきょうぶんだんにあたう

東京文壇に与う

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《東京文壇に与う(とうきょうぶんだんにあたう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,615 字 · 7 頁

青空文庫

なつかしくなれば、さっさと東京をはなれると良い。何も東京にいなければ、文学生活がやれぬわけでも、文学の志が達せられぬわけでもあるまい。私はそう思ったのだ。谷崎潤一郎氏も既に十年前にこのことを言っておられる。すなわち、「東京をおもう」というエッセイの最後の章がそれだ。

「……終りに臨んで、私は中央公論の読者諸君に申しあげたい。(中略)諸君は、小説家やジャーナリストの筆先に迷って徒らに帝都の美に憧れてはならない。われわれの国の固有の伝統と文明とは、東京よりも却って諸君の郷土に於て発見される。東京にあるものは、根柢の浅い外来の文化と、たかだか三百年来の江戸趣味の残滓に過ぎない。(中略)大体われ/\の文学が軽佻で薄っぺらなのは一に東京を中心とし、東京以外に文壇なしと云う先入主から、あらゆる文学青年が東京に於ける一流の作家や文学雑誌の模倣を事とするからであって、その風潮を打破するには、真に日本の土から生れる地方の文学を起すより外はない。ついては、いつも思うのであるが、今日は同人雑誌の洪水時代で、毎月私の手元へも夥しい小冊子が寄贈される。(中略)扨それらの雑誌を見ると、殆んど大部分が東京の出版であり、熟れも此れも皆同じように東京人の感覚を以て物を見たり書いたりしている。