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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
線上閱讀林 芙美子《林芙美子随筆集(いなかがえり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,157 字 · 118 頁
女の枯れたのも、こんなに風情があるといいなと思う。私は三十二歳になったけれども、同年輩の男の友人たちは、みずみずしくってまだ青年だ。武田麟太郎さん、堀辰雄さん、永井龍男さん、いずれも花菖蒲だ。だけど、女の青春はどうも短かすぎる。――いま、せまい私の机の上に、小さいコップが乗っている。マアガレットや、菜の花や、矢車草や、カアネイションが一本ずつ差してあるが、それに灯火のあたっている風情は、花って本当に美しいものだと見とれてしまう。今度生れかわる時は花になって来たいものだ。花だったら三白草だっていい。
花が好き、その他には、一ヶ月のうち二、三度は汽車へ乗っている。旅が好きで仕方がない。旅の遠さは平気で、歩くことがとても愉しい。この一月は志賀高原へスキーに行った。丸山ヒュッテに泊ったが、幸い紅一点で、雪の山上で私はまるで少女のようにのびのびとしていた。スキーは下手だけれども、暴力的なあの雪を蹴ってゆく気持ちが好きだ。自然と自分とに距離がなくなる。十二沢のゲレンデで、私位よく、勇ましく転んだ者はないと云うことであった。温泉へ這入ると、躯じゅう青や紫のあざだらけになっていて、さすがに転びスキーがはずかしかった。