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りゅうえいひろくかつえぐら

柳営秘録かつえ蔵

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《柳営秘録かつえ蔵(りゅうえいひろくかつえぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,933 字 · 27 頁

青空文庫

「さあ今度は何にしよう? うんそうだ鳥芸がいい。まず鳥籠から出すことにしよう」

キッと空を見上げたが、頭上には裸体の大公孫樹が、枝を参差と差し出していた。

「おお太夫さん下りておいで。お客様方がお待ちかねだ」

こう云って招くような手附をした。

と、公孫樹の頂上から、何やらスーッと下りて来た。それは小さな鳥籠であった。誰が鳥籠を下ろしたんだろう? それでは高い公孫樹の梢に、鬼小僧の仲間でもいるのだろうか? それに洵に不思議なのは鳥籠を支えている縄がない。鳥籠は宙にういていた。これには見物も吃驚した。ワーッと拍手喝采が起こった。鳥籠はスルスルと下りて来た。しかし下り切りはしなかった。地上から大方一丈の宙で急に鳥籠は止まってしまった。

「あっ」と驚いたのは見物ではなくて、太夫の鬼小僧自身であった。

「どうしたんだい、驚いたなあ」

呟いた途端に見物の中から、

「小僧、取れるなら取ってみろ!」

嘲るような声がした。

2

鬼小僧はギョッと驚いて、声のした方へ眼をやった。鶴髪白髯長身痩躯、眼に不思議な光を宿し、唇に苦笑を漂わせた、神々しくもあれば凄くもある、一人の老人が立っていた。