輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

りゅうえいひろくかつえぐら

柳営秘録かつえ蔵

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《柳営秘録かつえ蔵(りゅうえいひろくかつえぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,933 字 · 27 頁

青空文庫

しかし老人は居なかった。

「はてな?」と小首を傾げた時、正面の壁が左右へあいた。

「ここだここだ」と云う声がした。

「これじゃアまるで化物屋敷だ」

またも度胆を抜かれたが、そこは大胆の鬼小僧、かまわず中に入って行った。地下へ下りる階段があった。それを下へ下りた。畳数にして五十畳、広い部屋が作られてあった。しかも日本流の部屋ではない。阿蘭陀風の洋室であった。書棚に積まれた万巻の書、巨大な卓のその上には、精巧な地球儀が置いてあった。椅子の一つに腰かけているのが、例の鶴髪の老人であった。

ここに至って鬼小僧は、完全に度胆を抜かれてしまった。で、ベタベタと床の上に坐った。その床には青と黄との、浮模様絨氈が敷き詰められてあった。昼のように煌々と明るいのは、ギヤマン細工の花ランプが、天井から下っているからであった。

「雲州の庭、よく解ったな」

老人はこう云うと微笑した。手には洋書を持っていた。

「へえ、随分考えました。……雲州様なら松江侯、すなわち松平出雲守様、出雲守様ときたひには、不昧様以来の風流のお家、その奥庭の結構は名高いものでございます。……雲州の庭というからには、そのお庭に相違ないと、こう目星を付けましたので」