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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

線上閱讀柳 宗悦《柳宗悦 民藝紀行(うんせききこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 頁

青空文庫

二

第一は今いった「古薩摩」である。これを「黒薩摩」と呼んでもいい。庶民の用いる雑器が主要なものだったと思える。文禄慶長の頃より降る事凡そ三十年、寛永の頃新に作り出されたのが白釉の陶器である。茶道の需めで、茶礼の器物がその重要な品目であった。人々はこの頃のものを「白薩摩」と呼ぶ。だが更に降って寛政に至り、その白陶は錦襴の絵附を受け、「絵薩摩」へと進んだ。綵紋のあるこの雅器は、広く声価を得て今日に及んでいる。それ故苗代川には現に二つの異る陶器が対峙する。一方は雑器として永く続く黒物である。一方は雅器として発達した白物である。

二

これで見れば黒物こそ「古薩摩」の正系であるが、位が卑しいために今何が焼けるかを注意する者がない。しかし誰も「古薩摩」の力を知っていよう。それならその正しい子孫である黒物を顧みないのは不思議である。ましてその血脈が驚くほどよく保たれているからである。私たちは今出来るものを、今出来のものとは思えない位である。かかるものがなおも作られているのは、真に奇蹟だと思える。強ち「古薩摩」を遠い過去に求める要はない。苗代川の歴史は動くとも黒物の歴史は動かない。