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えいぞうのし

栄蔵の死

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《栄蔵の死(えいぞうのし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 頁

青空文庫

「貴方行んでおやんなはれ。

あんなに、常々つけつけ云うお金はんやさかい、どんな事云われとるか知れんさかい。

な、私で話が分るんなら行んでも来ようが、こう云う事は、女子ではらちが明かんさかいな。

病気になった時、親にはなれて居るほど心細いものはあらへん。

汽車賃位いどうでもしまっさかい。

「私が行く様んなったら汽車代だけやすまん。

お金奴、あらいざらいの勘定をさせる魂胆なんやから、素手でも行かれんわな。

お節は、いざ栄蔵が行くとなると、ぜひ持たしてやらなければならない金高を胸算用した。

汽車賃、小使い、お君へかかったものの勘定、あれやこれやではなかなかさかさに立っても、出せないほどの高になった。

筒袖を着物の様に合わせた衿に深く顎を埋めて、金の出所をお節は思案した。

東京の様な質屋めいた家もないではないけれども、栄蔵の元の位置を考えれば、まさかそんな事も出来ないし、今急に、少しでも田地を手ばなす気にもなれなかった。

「ほんにどうかならんかな。

お節は意地のやけた様に、玉のないそれでも本銀の簪で、櫛巻にした少しの髪の間を掻きながら、淋しそうに、ランプの灯の前に散って来る細かい「ふけ」