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うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝
杉山 萠円
線上閱讀杉山 萠円《梅津只円翁伝(うめづしえんおうでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,582 字 · 130 頁
明治十三年三月三十日、翁六十四歳の時に又も上京したが、この時翁は在福の門下から鈴木六郎、河原田平助両人を同行した。多分藩公、御機嫌伺いのためと師匠の墓参りのためであったろう。
この時の在京中藩公の御前は勿論、喜多流の能楽堪能(皆伝)と聞こえた藤堂伯邸へも度々召出されて御能、お囃子等を仰付られた。
その時長知公の御所望で「石橋」をつとめた事があるという。舞台は判然しないが、その「石橋」で翁の相手をした人々は宝生新朔、清水然知、清水半次郎、長知公、一噌要三郎と記録されている。いずれもが、その時の脇師、囃子方中の名誉の人々であったことは説明する迄もない。
かくて無上の面目を施した翁は四月六日東京出立、同二十七日無事帰県したが、この時の上京を前後として翁の芸風が漸く円熟期に入ったものではないかと思われる理由がある。勿論翁の斯道に対する研鑽と、不退転の猛練習とは晩年に到っても懈る事がなかった筈であるが、しかしこの以後の修養は所謂悟り後の聖胎長養時代で、この前の六十余年は翁の修業時代と思うのが適当のようである。
すなわち翁はこの前後に重き習物の能を陸続と披露している。