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せいかけんざっき
棲霞軒雑記
上村 松園
線上閱讀上村 松園《棲霞軒雑記(せいかけんざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,211 字 · 15 頁
京都の商人もあの頃は優しかった。葉茶屋に限らずどのような店でも万事このようで、総親和というものが見えて買うものも売るものも心からたのしんで売買したものである。
近ごろの商人さんはそうではない。売ってやる、買わせていただく……これでは商道地におちた感である。淋しいことである。その上に「闇」という言葉まで生まれて不正な取引きが行なわれていると聞くと、そぞろにあの頃がなつかしく思う。
もっともあの頃と言えども不正な商人がいないではなかった。
茶店にもとんびというのがよく来た。
新茶の出る時分になると、とんび(茶のブローカー)という商売人が宇治一品のお茶という触れこみで新茶を売りに来る。
この「とんび」が油断のならぬ代物で、こちらがうっかりしていると、宇治一品のお茶どころか、古いお茶をまぜたり田舎のお茶をまぜたりして怪しげなものをつかまされて、ひどい目にあわされるのである。
母はとんびの持ってくるお茶をいちいち飲みわけて、
「これは後口がしぶい。国の茶をおまぜやしたな」
といって相手の奸策を見破るほど鋭敏な舌を持っていた。
ごまかしが利かないとなると、さすがのとんびも兜をぬいで、よいお茶を運んでくるほかはなかった。