輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
むさしの
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(むさしの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,584 字 · 31 頁
また井頭池善福池などより流れ出でて神田上水となるもの。目黒辺を流れて品海に入るもの。渋谷辺を流れて金杉に出ずるもの。その他名も知れぬ細流小溝に至るまで、もしこれをよそで見るならば格別の妙もなけれど、これが今の武蔵野の平地高台の嫌いなく、林をくぐり、野を横切り、隠れつ現われつして、しかも曲りくねって(小金井は取除け)流るる趣は春夏秋冬に通じて吾らの心を惹くに足るものがある。自分はもと山多き地方に生長したので、河といえばずいぶん大きな河でもその水は透明であるのを見慣れたせいか、初めは武蔵野の流れ、多摩川を除いては、ことごとく濁っているのではなはだ不快な感を惹いたものであるが、だんだん慣れてみると、やはりこのすこし濁った流れが平原の景色に適ってみえるように思われてきた。
自分が一度、今より四五年前の夏の夜の事であった、かの友と相携えて近郊を散歩したことを憶えている。神田上水の上流の橋の一つを、夜の八時ごろ通りかかった。この夜は月冴えて風清く、野も林も白紗につつまれしようにて、何ともいいがたき良夜であった。かの橋の上には村のもの四五人集まっていて、欄に倚って何事をか語り何事をか笑い、何事をか歌っていた。