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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁
兵士が走る。はだしで、シャツの前をはだけた日本人が走る。紅い繻子の、前髪の女が、ころげそうに走る。
そこから、緯三路まで、突ッきって行く。その間が、幹太郎自身も、危険だと感じずにいられなくなった。
「早くやらんか! なに、マゴ/\しているんだ!」
「旦那、いけましねえ。いのちあぶない。」
「かまわん! やれ、やれッ!」
しかし、苦力は、どうしても進まなくなった。
これは、彼の家の掠奪に引きつゞいて急激に起ったことだった。まさに崩れようとする家は、一本のくさびをはずしても、巨大な屋台骨が、一度に、バラ/\に崩壊してしまうものだ。喧嘩買いには、袖がちょっと触れるだけで十分だ。それが、結構云いがかりとなる。
中津の掠奪が市街戦のきっかけとなった。中津の乱暴を見て、附近にうよ/\している青い服が押しよせてきた。家は叩き毀された。それをきいたカーキ服が馳せつけた。撃ちあいはすぐ始まった。そして、瞬くひまに全市にひろがってしまった。まるで、用意をして、待ちもうけていたものゝように。
猛烈な、有名な市街戦が、これから引き起されて行った。
KS倶楽部の土間は、命からがら、身をもって逃がれて来た人々で埋まっていた。