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しかばねをくうおとこ
死屍を食う男
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《死屍を食う男(しかばねをくうおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,482 字 · 16 頁
部屋へ入ると、深谷はワザと足音を高くして、電燈のスイッチをひねった。それから寝台へもぐり込む前に電燈を消した。
安岡は研ぎ出された白刃のような神経で、深谷が何か正体をつかむことはできないが、凄惨な空気をまとって帰ったことを感じた。
――決闘をするような男じゃ、絶対にないのだが。――
安岡は、そんな下らないことに頭を疲らすことが、どんなに明日の課業に影響するかを思って、再び、一二三四と数え始めた。が、彼が眠りについたのは、起きなければならない一時間前であった。
その次の夜であった。
安岡は前夜の睡眠不足でひどく疲れていたので、自習をいいかげんに切り上げて早く床に入った。そして、妙な素振りをする深谷の来る前に眠っちまおうと決心した。
「でなけりゃ、とてもやり切れない」
と思った。だが、そう思えば思うほど、なおさら寝つかれなかった。部屋が、そして寄宿舎全体が淋し過ぎた。おまけに、なんだか底の知れない泥沼に踏み込みでもしたように、深谷の挙動が疑われ出した。
深谷はカッキリ、就寝ラッパ――その中学は一切をラッパでやった――が鳴ると同時にコツコツと、二階から下りてきた。