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さつじんき

殺神記

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《殺神記(さつじんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,120 字 · 7 頁

青空文庫

女は顔の袖を除けて元振の顔を見た。

「お見かけすると、隣の室に酒宴の準備をしてあるようですが、全体どういう事情で、貴女は泣いていらっしゃるのです」

「私は今晩、神様の人身御供になりますから、それが悲しゅうございます」

元振は驚いた。

「人身御供、何という神の人身御供になります」

「この村に、烏将軍という神様がございまして、毎年毎年、女を一人、人身御供にあげております、もし、それをあげないと、村に災難が起ります、私のお父さんは、五百貫の金が欲しさに、私を人身御供の女に売りました、酒宴もその神様にあげるものでございます」

「村の者は皆どうした」

「私をここへ置いてから、皆逃げて帰りました、どうぞ私を助けてくださいませ」

元振は腰の剣に心を向けた。

「よし、助けてやろう、どんな神か知らないが、人身御供を求めるような神は邪神だ、助けられなかったら、いっしょに死のう」

「どうか、助けてくださいませ」

「その邪神は、いつくる」

「夜半比にくるということでございます」

「では、運を天にまかして、邪神を待とう、心配しないで、ここに待っていなさるがいい」

元振は次の室へ往って料理の卓に向い、思うさまに喫った後で、入口の室へ往って坐っていた。