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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
線上閱讀石川 欣一《比島投降記(ひとうとうこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,333 字 · 134 頁
ASの申出を私は大きによろこんだ。
翌朝は、入港と上陸の準備で、ゴタゴタした。朝飯も早目にすませたが、ASも忙しいらしく、姿を見せなかった。見せたところで僕は「コーヒはどうした」と聞く図々しさは、持ち合せていなかったが……。
船が防波堤の内に入ると、ASがやって来た。作業服を脱いで、パリッとした白の水兵服である。ちょっとこっちへ来いと、僕を甲板の一隅に連れて行ったが、手には大きな空缶を持っていて、それには一杯コーヒが入り、いい香がする。約束通りのキャフェ・オ・レーである。あたり前のスープ匙よりも、余程大きな銀の匙で、缶の中をかきまわしながら「俺は急に下船して国に帰ることになった。君も早く国に帰れることを希望する。帰ったら便りをくれ」と、紙片に書いたアドレスを渡した。ケンタッキーの古い都会である。
僕は礼をいい「あなたが早く家庭に帰れることを、僕は非常にうれしく思う。家族はいるのか」と聞くと、「女の子が二人……」といいかけて、突然銀の匙の滴を切り、「これをポケットに入れて行きなよ」といったまま、急いで向うの方へ行ってしまった。(その後、別の場所で書く機会があると思うが、実に色々なことが起って、僕は所持品のほとんど全部を失ったが、この匙と、アパリでG中尉に貰った機械化部隊の徽章と、同じ船の別の水兵がくれたシャツ