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みずとりてい
水鳥亭
線上閱讀坂口 安吾《水鳥亭(みずとりてい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,705 字 · 62 頁
自然にそうせざるを得なくなりますから。日本は焦土になります。ここも焼けるか、吹きとぶか、どちらかです。みんな次第に穴居しますよ。ムリにすることはないのです。自然になされた状態に於て、はじめて体験の真理が会得されます」
「ほんとですね」
「むろんです」
「石器時代に毛布やフトンや着物がありましたかね」
「むろん、ないです」
「なぜ着物をきてらっしゃるのですか。戦災者特配の毛布は、うけとるべきではなかったですね。なぜ、お貰いになったのですか」
「いえ、それでいいのです」
「なぜですか。せっかくの自然状態を自ら裏切ってやしませんか」
「いえ、いいのです。今に、くれる物もなくなる時がきます。みんな、裸になる時がきます」
「それでも日本が勝ちますか」
「かならず勝ちます。『有る』思想は滅亡すべき性格です。『無』の思想には、敗北はないのです」
「あたりまえですよ。無より悪くはなりっこないにきまってますよ」
「いえ、無が有を亡すのです」
亮作の弱々しい目に妖光がたまっていた。神がかりの度がひどくなっていくようであった。
日本の諸都市のバクゲキがあらかた片づいて、夏がきた。
伊豆半島、特に伊東に敵が上陸してくるというので、気違いじみた騒ぎが起った。