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ひょうがきのかいじん

氷河期の怪人

海野 十三

線上閱讀海野 十三《氷河期の怪人(ひょうがきのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,321 字 · 15 頁

青空文庫

――それよりも、ききたいのは、お前は、どこの人間か」

「ぼくたちかい。ぼくたちは、日本人さ」

「日本人? きいたことがないなあ」

怪人は首をかしげた。石斧をもったまま、手をヤヨイ号の残骸の方へのばし、

「あれは一体なんだ。大きな音をたてて、空から落ちたが、お前たちの国は、空の上にあるのか」

「日本は、やはりこの地球のうえにあるが、ずっと東の方だ」

と、道彦は、はるかに日本の方をさして、

「しかし、われわれは空をとぶことができるのだ」

「空をとぶのは、鳥だ。鳥にのって、空をとぶとは、おどろいた」

「鳥ではない。飛行機という器械だ。われわれ人間が発明した器械だ」

といってやったが、その怪人には、器械ということがなかなかのみこめなかった。そこで道彦も、怪人が、今日の科学の発達を知らない人間であることをさとったが、それでもまだ、二十万年前の人間だとは考えられなかったので、

「ねえ、ほんとうに、氷河期を知っているのなら、そのときのことを話してみたまえ」

というと、かの怪人は、うなずいて、

「あれは、まったくおそろしかったよ。大空から、月が下がってきたのだ。月が下がってきてだんだん大きくなった」