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ひょうがきのかいじん
氷河期の怪人
海野 十三
線上閱讀海野 十三《氷河期の怪人(ひょうがきのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,321 字 · 15 頁
道彦は、かたい雪のうえを、いくたびかすべりそうになって、それでもやっとがけのふちまで、たどりついた。そして、谷の方を、おそるおそる見下ろしたのであった。
雪のほかに、何一つ見えない大雪谿が、はるか下の方へのびている。向いの山も、まっ白であって、山小屋はもちろん、石室らしいものさえ見えなかった。そうでもあろう。ここはよほどの奥山らしい。
それでも道彦は、のぞみをすてなかった。小手をかざして、どぎつい太陽の光をさえぎりつつ、なおも峰々へ眼をやった。
すると、だしぬけに、彼のうしろで、声をかけた者があった。
「おい、お前さん。わしに、力を貸してくれないか」
そういった声は、聞きなれない外国語であった。
現われた怪人
「えっ」
道彦は、おもいがけない外国語でよびかけられ、びっくりして、うしろをふりむいた。すると、そこには、いようななりをした大男が、ぬっと立っていた。
「君は、だれ?」
道彦は、といかえした。
毛のふかふかとしたながい毛皮でもあろうかと思うもので、頭の先から足の先までをつつみ、そして顔も、きらきら光る目だけを出したその大男であった。もし彼が、ことばをしゃべらなかったら、ゴリラとまちがえたかもしれない。