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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁
ひどいことを……」
振り放そうともがくお此の痩せ腕を、お絹は挫ぐるばかりに片手でしっかり掴みながら、片手で箱をとんとんと叩くと、穴の中から青い蛇が長い首を出した。お絹はその鎌首をつかんでずるずると引き出して、お此の鼻の先へ突きつけた。
「さあ、言わないか」
お此は真っ蒼になって口もきけなかった。彼女は死んだ者のようになって唯ぼんやりしていると、お絹はものすごい眼をしてあざ笑った。
「じゃあ、隠さずに言うかえ。なんでもいいからお前さんの知っているだけのことを言っておしまいよ」
世にもおそろしい蛇責めに逢っては、お此もしょせん逃がれる術はないと観念したらしい。自分の知っているだけのことは何でも言うから、ともかくもその蛇をしまってくれと顫えながら頼んだ。
「お前さん、知らない筈がないじゃあないか。お前さんがお里の家のすぐ近所にいるということも、あたしはちゃんと知っているんだよ」と、お絹は嚇すように睨んだ。蛇をつかんでいる手はまだ袂の下に隠していた。
お絹が根ほり葉ほりの詮議に対して、お此も知っているだけのことを何でも答えた。しかし十四日の月を踏んでお里が林之助に送られて帰ったことは、二人のほかに知る者はなかった。