輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁

青空文庫

は、なるべく六三郎との仲をひとには洩らしたくないと思っていた。そんな噂を立てられては男の為にもならないと案じた。若い男があせって通って来るのを、女はかえって堰き止めるようにしていた。年下の男をもった為に、お園はいろいろの気苦労が多かった。遊びの諸払いも自分がいつも半分ずつ立て替えていた。

こういうじみな、隠れた恋を楽しんでいただけに、二人の仲はなんの破綻を現わさずに続いていった。親方も薄うすは悟っていたものの、二人の恋がそれほどまでに根強くかたまっていようとはさすがに思いも付かなかったので、若い者の廓通い、ちっと位は大目に見て置いてやれと、別に小言らしいことも言わなかった。

寛延二年には六三郎が十九になった。お園は二十二の春を迎えた。

親方の家の裏には広い空地があった。ここを仕事場としているので、空地の隅には材木を積んで置く木納屋があった。納屋の角には六三郎が来ない昔から一本の桜が植えてあって、今はかなりの大木になっていた。六三郎はこの桜の下で鉋や鋸をつかって、春が来るごとに花の白い梢を仰ぐのであった。今年もその梢がやがて白くなろうとする二月のなかば、陰って暖かい日の夕暮れであった。