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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
大学の学生時代に聴かれたリースの講義の筆記を先生から借りて通読したのも、この時のことであったかと思う。それで、いよいよ書く段になると、先生の立てられた大体の構想によって、ぼくが草稿を作り、月に二、三回ぐらいずつ先生のお宅にうかがってその検討を乞い、訂正すべきところは訂正し、疑問のあるところは更にそれに関係のある書物を読んで考えなおす、というようにして、ともかくもかなりぶあつなものを書き上げた。出版せられたのは三十年の半ばころであったかと思う。後から見ると、全体が蕪雑でもあり、筆を執ったぼくの知識の足らぬために、著者としての先生の名を辱かしめることになりはしなかったかと気づかわれもしたが、書いた時には、ぼくとしてはせい一ぱいのしごとであった。
このしごとはぼくにとっては大きな意味のあることであった。教科書の上に明かには書き現わされていなかったと思うが、ごく大ざっぱにではあるけれども、世界の歴史の動きの大すじが、その時のぼくの浅薄な知識の程度で、一とおりわかったように思ったことの外に、政治、経済、社会、宗教、または文芸や学術などの、種々の現象が互にはたらきあって一つの歴史の動きとなっていること、世界は一つの世界であって、多くの民族はその間に、多かれ少かれ、また直接間接に、何らかのつながりがあると共に、民族によって