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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
六世紀より後においても、天皇はみずから政治の局には当られなかったので、いわゆる親政の行われたのは、極めて稀な例外とすべきである。タイカ(大化)の改新とそれを完成したものとしての令の制度とにおいては、天皇親政の制が定められたが、それの定められた時は、実は親政ではなかったのである。そうして事実上、政権をもっていたものは、改新前のソガ(蘇我)氏なり後のフジワラ(藤原)氏なりタイラ(平)氏なりミナモト(源)氏なりアシカガ(足利)氏なりトヨトミ(豊臣)氏なりトクガワ(徳川)氏なりであり、いわゆる院政とても天皇の親政ではなかった。政治の形態は時によって違い、あるいは朝廷の内における摂政関白などの地位にいて朝廷の機関を用い、あるいは朝廷の外に幕府を建てて独自の機関を設け、そこから政令を出したのであり、政権を握っていたものの身分もまた同じでなく、あるいは文官でありあるいは武人であったが、天皇の親政でない点はみな同じであった。そうしてこういう権家の勢威は永続せず、次から次へと変っていったが、それは、一つの権家が或る時期になるとその勢威を維持することのできないような失政をしたからであって、いわば国政の責任がおのずからそういう権家に帰したことを、示すものである。