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うみからきたつかい

海からきた使い

小川 未明

線上閱讀小川 未明《海からきた使い(うみからきたつかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 6,149 字 · 13 頁

青空文庫

いつのまにか、冬がきてしまいました。

木枯らしの吹く夜のことです。地の上には、二、三日前に降った大雪がまだ消えずに残っていました。空には、きらきらと星が、すごい雲間に輝いていました。

ここに憐れな年とった按摩がありました。毎晩のように、つえをついて、笛を鳴らしながら、町の中を歩いたのでした。按摩は、坂にかかって、地が凍っているものですから、足をすべらしました。そのはずみに、懐中の財布を落とすと、口が開いて、銀貨や、銅貨がみんなあたりにころがってしまったのでした。

「あ、しまった!」と、按摩はあわてて両手で地面を探しはじめました。

指のさきは、寒さと、冷たさのために痛んで、石ころであるか、土であるか、それとも、銅貨であるかさえ判断がつかなかったのでした。通る人たちは、わき見もせずに、みんな寒いので家の方へ急いでいました。また、通りがかりに、この有り様を見た人の中には、拾ってやって、相手が盲目だから、かえって疑われるようなことがあってはつまらないと思ったり、また、中には、自分で後からきて銭を拾ってやろうと、よくない考えを抱いたような小僧などもありました。