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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

線上閱讀葉山 嘉樹《海に生くる人々(うみにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,305 字 · 321 頁

青空文庫

であった。

「この野郎、鼻持ちのならねえ野郎だ」と思いながら、波田は、シチャードへ、ミルク一罐と、卵十個分けてもらえないかと交渉した。

「ボーイ長にやるんだって、ああ、いいとも、持って行きな、そうかい、じゃあパンを一斤ばかり持ってって、牛乳と卵とで湿してやるといいや、ほら、ここに砂糖と、……それだけでいいかい、そしてどうだね、ボーイ長の容態は」シチャードは親切に倉庫から、それらのものを笊へ出してくれた。

「どうもありがとう。金はあとでおもてから払うからね、当分済まないが借しててくれないか」波田は全くうれしかった。

「いいよ、そんなこたあ、気をつけてやりな、若いもんだ。先のあるもんだからな」

「ああ、そいじゃ、ありがとうよ」

波田は、ともかくそれらのものを持って来て、ボーイ長に与えた。

彼は飢えた狼のようにむさぼり飲んだ。ボーイ長が食欲を失っていないことが、波田には大層心強く思われた。

彼が安井のために、食事のしたくをする間にだれもが食事を終わっていた。そして、茶碗や、徳利(醤油)はころばないように、各その始末さるべきところへとしまわれてあった。彼は、それから、また、自分の分を継続しなければならなかった。