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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《海に生くる人々(うみにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,305 字 · 321 頁
けれども見習いは、引きずり上げられた溺死体のようにだらりとして、目ばかりを宙につっていた。彼は直ちに、水夫二人にかつがれて、最も震動と、轟音のはなはだしい船首の、彼の南京虫だらけの巣へ連れ込まれた。
仕事着を彼から脱がせることは最大の急務であった。が同時に最大の困難でもあった。まるで帆布作りの仕事着ででもあるように、それは凍りついていたのである。ついて来た藤原は、その腰のメスを抜いて見習いの仕事着を上手に切り裂いた。そして、彼の寝間着が、上にかけられた。
ボーイ長の右手と右の肺の部分に紫暗色の打撲傷ができていた。そして左足の拇指が砕けていた。
ストーブがないために、水夫らははなはだしく寒かった。見習いは、傷と、凍えのために、もしこのままにして置くならば、必ず、始末は早くつくということを皆知っていた。そこでついて来たストキと、水夫二人は各水夫の巣から、ありったけの毛布を集めて、それをかけてやった。
そして、そのまま、全部彼らは船尾ハッチのカバー作業に駆けて行った。
船尾のハッチは船首のそれと同様の危険と困難さをもって、作業された。手の届きそうな低空を、雪雲が横飛びに飛んだ。