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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《海に生くる人々(うみにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,305 字 · 321 頁
「ソーッと、出し抜けに、おれは帰らなきゃならん。自動車は家へ知れないくらいのところで、帰してしまわなくちゃ、そして……」船長は、絶えず妻にやきもちを焼いた。そして、彼も、それほど妻を愛してはいないことを、誇示するつもりで寄港地ごとに遊郭に行った。そこではよく、水夫と一つ女を買い当てたものだ!
それは、全くおもしろい、こっけいな、喜劇の一幕を演ずるのだが、今は、サンパンが用意されようとしている。
一五
水夫らは、ともの、三番のウインチに二人ついた。ボートデッキに二人、各のロープについた。そして波田は、サンパンに乗った。それをタラップまで回航するためであった。かわいそうなドンキーは、また機関室へはいって、蒸気をウインチへ送らねばならなかった。火夫も火口に待っていねばならなかった。
綱は少しずつ繰り延べられた。それは板の上へおろされるのであるならば、サンパンにかかっている鉤を、綱がゆるんだ時にはずしさえすれば、サンパンはそこに立派にすわっているのだが、それが波――ことにその夜のごとく、大きく鼓動している時――に向かっておろされる場合は、非常に困難であった。