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うみのおどり
海の踊り
小川 未明
線上閱讀小川 未明《海の踊り(うみのおどり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,419 字 · 7 頁
このとき、下の漁師村から、少年が、がけの上へ登ってきた。そして、おれを見ていじらしく感じた。たいていの子供たちなら、考えなしに、いたずらをして、無理にも引きはなしてしまうのを、『ああ、雪で裂けたのだな、こんながけの上で、岩にしがみついて、一日として平穏に暮らしたことのない木を、かわいそうに……。』と、少年はいって、わざわざ家から、もちを持ってきて、裂けめを合わせて、ぐるぐると繩で傷口を開かないように縛ってくれた。なんとしんせつでないか。おれは元気だったから、体の恢復するのも早かった。あれから、十年にもなったろう……。英吉というのは、その少年の名だった。」
だまって、聞いていた、いすかは、
「ああ、それでわかりました。あなたが、その若者の身の上を心配なさるのは、もっとものことです。なんという、その人は、やさしい心でしょう?」
松の木は、身ぶるいしながら、
「あの人は、小さい時分に、両親をなくして、おばあさんの手で育てられた。そうした、不幸を味わわないものだったら、どうして、同情をするようなことがあろう……。」と答えました。
遠い、北の寒い国に生まれて、またその方へ帰ってゆこうとする、いすかは、寒いことには平気でしたから、それによく飛びましたから、今夜にも、海を越そうとしていました。