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しせい
消えた受賞作 直木賞編
富田 常雄
線上閱讀富田 常雄《消えた受賞作 直木賞編(しせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,806 字 · 36 頁
博奕が甚だしく悪かった時の癖だ。苦味走った浅黒い顔に、(その男振りにミチは命までも捧げて惚れ込んだのだ)脂汗が浮び、皺が眼尻に寄り、眼が充血して、二十五歳という年齢を十も老けさせて、博奕の後の、彼女には慣れ切った容貌であった。
「お腹はいいの?」
ミチはコップにレモンシロップを入れ、薬缶の水を足した。勇は天井を睨んだまま長い間黙って居る。
「風呂へ行ってもいい? どうせ、帰らないと思って、今、行こうとしてた処なの」
「駒が続かなきゃ帰らざあなるめえ、とんちき」
「そんな事、妾が知るかい」
「何を」
勇は首だけミチの方へ向けたが、横坐わりしたピンクの裾からあざやかに覗いた白く豊かな線の暗い奥に眼がぶつかると、挫けた様に荒い言葉を呑んだ。
「風呂へ行くって、今、何時だと思ってるんだ。賭場を出た時、一時を打ったんだぞ」
「節電で何処の風呂屋も突拍子もない時間にやるのよ。竹の湯は夜の十一時半から二時までだと云うから、今日、初めて行って見ようと思ったの」
「昼間行け、昼間」
「昼間はバイで暇が無いじゃないか、いいから、寝てなよ。すぐ、帰って来るわ」
ミチは媚びの笑いを片頬にのせた。