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りんらくのこうじょのおぼえがき
淪落の皇女の覚書
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《淪落の皇女の覚書(りんらくのこうじょのおぼえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,649 字 · 56 頁
ようにいつとはなく人々の記憶から薄れてしまった。
二十二年の春、「ニコラス二世並びにその家族に加えられたる惨虐の真相」というタイトルのもとに、皇帝の一族がエカテリネンブルグに到着した日から最後の時までの精細な記録がジェネラル・デュデリックという署名でジュウルナール紙に発表され、両大陸を驚倒させた。大要は次のようなものだった。
エカテリネンブルグはトボルスクの西南百五十哩、ウラル山脈の東側にある小都会で、ウラル・コムミュニスト委員会の本部が置かれ、「赤色エカテリネンブルグ」ともいわれる革命的な空気にみちた町である。ボルシェヴィキの前衛をもって任じているウラル軍団・労働者・農民の代表者達はエカテリネンブルグを無視して廃帝をトボルスクへ移したことに不満を感じ、モスクワの中央委員会の議長、エカテリネンブルグ出身のスヴェルドロフに手紙や電報で再々引渡しの要求をしたがなんの応答もなかった。それでトボルスクへ調査員を送って事情を調べさせると、返答のないはず、中央執行委員会は廃帝と家族を南方のウハへ移すことにきめ、命令書を持ったヤコヴリエフという実行委員がすでにトボルスクに到着していることがわかった。