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とろ

瀞

佐藤 垢石

線上閱讀佐藤 垢石《瀞(とろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,908 字 · 30 頁

青空文庫

もちろん、朝夕二食に昼の弁当つき、布団つき間代まで含んでいるのだ。

婆さんの答えをきいて、雨村は当然であるといったような顔をしている。私は、婆さんと雨村の二人の顔を見くらべて、心の中に驚いたのである。

昭和十五年といえばもう支那事変が起こってから五年目になる。世の中には、そろそろ統制経済だとか、公定相場だとかという言葉をきくようになり、都会では生活物資が次第に少なくなり、物の値いが高くなっていくのに驚いているときである。であるのに、ここの宿料はどうしたことか。

たとえ、老婆は古い顔知りの雨村のために、特に旅籠料を安くして置くとかいう含みが言葉にもなく、表情にもない。また雨村は、平然としてこれを感謝している風もない。

四

私は、今から十五、六年前、裏飛騨の吉城郡坂上村巣の内へ、鮎釣りの旅に赴いたことがある。この村の地先は、越中国を流れる神通川の上流である宮川の奔湍が、南から北へ向かって走っていて、昔から一尺に余る大きな鮎を産するので有名である。

その頃は、まだ富山から高山へ汽車が全通していないので、巣の内は軌道敷地の工事最中であった。ここの宿では、大きな鍋を爐にかけて鍋めしを炊いていた。