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やけどしたかみさま
火傷した神様
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《火傷した神様(やけどしたかみさま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,456 字 · 7 頁
「知るものか。なんだい、来宮様がなんだい」
と云うと、女ははじめて私が何も知らないことを知ったのか、
「御存じないですか。来宮様は、お酒が好きで、酒を飲んで、寝ておりますと、火事になって、火が華表の傍まで燃えて来ても眼が覚めんものですから、鳥が来て起してくれましたが、起きられないで、火傷をしましたから、それで、暮れの十七日の夜の十二時から、むこう一週間、酒を飲まんことになっております」
と笑い笑い云った。
「そうかい、そいつはいかんな」
「お気のどくですが、それで、来宮様のお祭には、この土地では、一切酒を飲まないことになっておりますから」
「それじゃ、酒がなくてはいられない者は、どうするのだ」
「その方は、他の村へ往くのですよ」
「そうか、それじゃだめだね、今日は」
「お気のどくですが」
一ぱいやろうと思って楽しみにしていた私も、あきらめるより他にしかたがなかった。
「それじゃ、しかたがない、飯だけ」と云ってから、「しかし、これが毎月だと、金がのこるなあ」
酒ぬきの飯を喫った私は、其処を出て河津川縁に往き、其処の橋を渡って上流へ往って、田の中の森にある来宮神社へ往ってみた。