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とうみょうのまき

灯明之巻

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《灯明之巻(とうみょうのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,444 字 · 47 頁

青空文庫

あとをよくは覚えていないんだが、その山葡萄を雫にして、塗ったり吸ったりして無事に治った……虫は斑※(「(矛+攵)/虫」、第4水準2-87-65)だった事はいうまでもないのです。」

「何と、はあ、おっかねえもんだ、なす。知らねえ虫じゃねえでがすが、……もっとも、あの、みちおしえは、誰も触らねえ事にしてあるにはあるだよ。」

「だから、つい、声も掛けようではないか。」

「鷺の鳥はどうしただね。」

「お爺さん、それは見ていなかったかい。」

「なまけもんだ、陽気のよさに、あとはすぐとろとろだ。あの潰屋の陰に寝ころばっておったもんだでの。」

白鷺はやがて羽を開いた。飛ぶと、宙を翔る威力には、とび退る虫が嘴に消えた。雪の蓑毛を爽に、もとの流の上に帰ったのは、あと口に水を含んだのであろうも知れない。諸羽を搏つと、ひらりと舞上る時、緋牡丹の花の影が、雪の頸に、ぼっと沁みて薄紅がさした。そのまま山の端を、高く森の梢にかくれたのであった。

「あの様子では確に呑んだよ、どうも殺られたろうと思うがね。」

爺は股引の膝を居直って、自信がありそうに云った。

「うんや、鳥は悧巧だで。」

「悧巧な鳥でも、殺生石には斃るじゃないか。