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むざんやな

無惨やな

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《無惨やな(むざんやな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,601 字 · 16 頁

青空文庫

相客に松平主水を呼んでおくから」

「では、そのせつ」

そういって、又内は帰った。

二十日の午後、蔵人は老僕の作左衛門を居間に呼んで、

「夕刻、七つ時分に、隠密の用談があって、本多民部左衛門、犬塚又内、松平主水の三人が見えられる。蕎麦切を出すから、用意をしておけ」

作左衛門は敷居ぎわにかしこまって、はいはいと、うなずいた。

「心得のために申し聞かすが、今日は重い用談があるによって、家内のものどもを邸に置けぬ。とりわけ、女どもは口さがないものだから、指図のあり次第、一人残らず、その方の長屋へひきとるようにせよ。尤も、膳の出ているあいだは、給仕はおかねばならぬが、いいころに、おれが合図する」

「口々の固めは、いかようにいたしましょうか」

「おお、そうよ。口々には錠をおろし、玄関には、そちが居坐って、番をいたせ。お城からなにか申して来ても、玄関から一寸でも離れてはならぬ。また、おれが呼ぶまでは、何事があろうとも内に入るな。しかと申しつけたぞ」

「かしこまりました」

七つ過ぎ、民部左衛門、又内、主水の三人が、うち連れてやってきた。蔵人は式台まで出迎え、

「これはこれは、ようこそ」