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はちゅうかんじけん
爬虫館事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《爬虫館事件(はちゅうかんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 頁
それが出来たとすると、特殊の状況が必要だったことになる。白昼下では、その時、幸いにも観覧人も少く畜養員や園丁も現場に居合わせなかったというとき、又夜間なれば、これは極めて容易に行われる。しかし万年筆は園長失踪の日に発見されたのだから、搬ばれたのは夜間になる以前だといわなければならない。しかも十一時二十分頃までは園長を見掛けたという人があるのだから、正午になれば園長は食事のため事務所へ帰って行った筈で、それが無かったとすると、どうしても失踪は十一時二十分から正午の間と断定するのが常識のように思う。コースは調餌室から爬虫館ではなくて、反対に爬虫館から調餌室へと考えられる。そこで帆村は、爬虫館の鴨田研究員が十一時三十五分前後に、調餌室の前へトラックが到着して動物の餌を搬びこんでいるらしい騒ぎを聴いたということを思い出した。すると犯行は、この前か後か。――帆村は調餌室の内部にも多分の疑問符号が秘められていることも考えないわけにはゆかなかった。
西郷理学士と一緒に調餌室に入ってみると、帆村は思わず「呀ッ」と叫びたいくらいだった。塀の外で調餌室を想像しているのと、こうやって大きな俎上に、血のタラタラ滲みでそうな馬肉の塊を見るのとでは、まるっきり調餌室というものの実感が違った。