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ふぼにたいするしじょう
父母に対する私情
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《父母に対する私情(ふぼにたいするしじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,333 字 · 9 頁
私が結婚する時だってそうだった。
かく暗黙のうちに、父母は私に凡てを許し、私は自分一人で勝手な道を進んできた。それが、今になって振返ってみると、非常に有難いなつかしいことのようにも思えるし、何だか淋しいことのようにも思える。
それは、理解などということを超越した、ただ心と心との繋がりだった。父母は私を広い深い慈愛のうちに包み込んで、凡てを私の意のままに任してくれたし、私は父母の慈愛に甘えながら、一人で勝手なことばかりしてきた。人と人とのこうした関係を、私は二度と経験したことがないし、また今後も二度と経験しそうには思われない。
そして、私が今感謝の念に堪えないのは、そういうことによって私は、自分の生活の全責任を自分で負うという力強い感じを、胸の底にしっかと得てきたことである。
父に対する感情は、常に私を鼓舞し力づけてくれる。
私は実は、学校を卒えても父母の財産で生活していって、除々に創作などをする、そういった呑気な気持でいた。所が、家庭のことなんかには全く無頓着だった私は、学生生活を終える間際になって、父はいろんなことに失敗していて、財産どころか莫大な負債を持ってるのを知った。