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ぶつりがくのおうようについて

物理学の応用について

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《物理学の応用について(ぶつりがくのおうようについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,232 字 · 7 頁

青空文庫

海洋に関する物理的事項の重なるものについては近頃出版した拙著『海の物理学』にその梗概を述べておいた。なお直接水産方面に関して、自分の知っているだけの僅少な例を挙げてみると、第一に漁具ことに網の研究である。各種の網糸の強弱弾性やその温度湿度によっての変化とか、網に付ける浮標の浮力、浸水の度やその耐圧度とか、あるいは網面に当る潮流の抵抗の研究とか、いずれも物理学、力学の応用によって解決せらるべき問題である。次に太陽や燈火の光が海中に入り込む程度は漁業上重要な問題であるが、これを要するに光学上の問題に帰着する。上層と下層における魚類の色を自然淘汰によって説明した動物学者があるが、その基礎とするところは海中における光の吸収の研究である。また海岸の森林が魚類に如何なる影響があるかという問題があるが、これもいわゆる魚視界と名づける光学上の問題が多少関係して来る。また塩魚類鰹節の乾燥とか寒天の凍結とかいう製造方面の事柄にも物理学応用の範囲は意外に広大であるように見受けられる。近頃藤原理学士が乾燥に関する面白い物理学的の理論を出された。おそらくこの方面の先駆と見てよかろうと思う。