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ぶつりてきくうかんのせいりつまで
物理的空間の成立まで
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《物理的空間の成立まで(ぶつりてきくうかんのせいりつまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,996 字 · 61 頁
空間表象に於て感覚をより積極的に見るものは心理学に於て最もよく行なわれる空間知覚の概念でなければならぬ。カントのように空間を直観と見る代りに、空間を直観と知覚との和とも云うべき空間知覚と見るのであるから、知覚はそれだけ積極的となるわけである。もし心理学が一般にその方法論上の制約からして直ちに吾々の今の問題に結び付き難い困難を持つことを指摘し従って空間知覚に就いての議論を無用であると主張されるならば、吾々は意識をそれに固有な立場で観察する現象学を以て之に代えてもよいであろう。既に先に私はベッカーを引用して空間知覚の分析に触れたのである。併しベッカーも示すように空間知覚には種々なる段階を区別しなければならぬ。而もかかる段階は単なる区分ではなくして一つの順序を現わすものに外ならない。原始的なものから最も発展したものまでの階級を意味するものに外ならない。かの等質空間とはかかる階級の最高位に在るものであった。即ちそれは空間知覚の発展の終局と考えられねばならぬ。併し発展のこのような終局とは元来何を意味するか。のみならず他方ではこの等質的空間はそれ以前の段階の空間をその規定として内に含み得る性質を持つものと云わねばならぬ。