輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

とくしゅぶらくのはんざい

特殊部落の犯罪

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《特殊部落の犯罪(とくしゅぶらくのはんざい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,455 字 · 15 頁

青空文庫

そしてそのまま、ぶるぶるっと水からもぐり出る様な気味で、身を起しながらつっ立った。

一面に月の光りが流れてるきりで、見渡す限りひっそりとしていた。

「おつる坊、もう逃しはしねえぞ!」

独語の調子でそう云って、久七はつるを引きずりながら歩き出した。つるの草履が足先からぬけ落ちて、其処に残った。

彼は熱に浮かされた眼を見据えながら、家の前まで辿りついた。表戸をがらりと引開けて、小脇のつるを突き入れた。

「へえれよ。」

だが、彼女は土間にばたりとぶっ倒れたまま、棒のようになって動かなかった。久七はぼんやりそれを見下した。ふと屈み込んで引起そうとした。彼女の手足は硬ばって冷たくなっていた。額に手を当てると、底知れぬ冷たさがぞっときた。

彼は飛び上って、眼をある限り見開いた。ぶるぶると震え上った。

震えが止むと、彼はきょろりとあたりを見廻した。馳け出して出刄を取って来た。身構えをしたが、誰も来る者はなかった。しいんとした月夜だった。

彼はぽかんとして手の出刄を取り落した。上り口の柱にしがみつきながら、がっくり身を落した。そして、足下に横たわってる死骸と同じように、いつまでも呆けた不動のうちにじっとしてる――平吉が四五人の者を連れてやって来るまで、そしてその後までも。