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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
それにしてもそなたは永い間怺えていられた。その永い間怺えていられたことだけでも、その人はそなたの倖せを願われるであろう、貞時、そなたのような女の人ははじめて知り申した。」
その時、宮腹の主人は遠慮深げではあったが、二人の前にあらわれ、筒井は極めて落着いたこなしで貞時を紹介し、そしてあらためていった。
「迎えにまいられたのでございます。いままで何ごとも申上げずお許しくださいますよう。」
「なるほど。」
宮腹の主人は貞時を見て、はじめて筒井が秘めていた事情を諒解したのであった。貞時の風貌は宮腹の主人の反感を呼ぶような種類のものではなく、きわめて善良な好印象をあたえた。
「お庭先にて無礼の段、おゆるしあるよう。」
「せめて簀の子まで近寄られい、お父上とは御昵懇なものでござる。」
「それははじめて承ります。」
貞時は自分の父を知る主人を見直して、あたたかさを感じた。
「近年おあい申さぬが、お父上も、わしもみなつれあいを亡くし、かなしいともがらでござる。」
筒井もこと偶然ではあったが、父同士の知り合いには、くすしき縁を感じざるをえなかった。彼らは簀の子にあつまり、梅花の匂いをこもらせた白湯を味った。