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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
」
「お身はいつも和歌のように何事も感じている。なるほど、もはや倉の中は暗くなくなり申した。」
階段も棚も、おびただしい荷物の筐までが、はっきり分るようになって来た。
「わたくし此処でほんの小さいかげろうの姿までが、見えるようになれてまいりました。燭のない方が何も彼も美しく匂うように見えてまいります。」
「しかもこの暗さはしたしい暗さだ。手ですくえるような藍玉のつらなりを見るような気がする。」
「窓の方から見ませ、山も、野も見えまする。そして地上ではどういう小さい物でも、少しでも動いているもので見分けられないものとてもありませぬ。」
「山野にも眠りがあるような気がするではないか、夜の葉が眠っているなら、それらの夜の葉をあつめた山にも、ひとときの眠りがあるわけだ。」
「山は人の眼に見えなくなったときに、そういう眠りを眠っていることが言えるのでしょう。」
彼らの物語は尽きなかった。そして彼らの生きていることも、尽きるものではない、その夜から持彦は再びかよい続けた。燭をともさない倉の中に、何の話声も漏れず、外部からは人の気はいすら感じられなかった。毎夜のような薄い月夜が倉にある二つの窓にさしながら、そこらのものを、さらに朦朧とけぶるように見せていた。