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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集 一(こぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,259 字 · 96 頁

青空文庫

しまったし、それから、農会や信用組合まで喰いかじって半身不随にした揚句、程もあろうに八百円の「慰労金」まで、取って辞めたという存在――いわゆる「札つき者。」

「まったく奴は村のこぶだったよ。いつまでもあんな奴にぶら下られていたんでは、村が痩せてしまうばかりだ。」

そんなことで、中地が代ったときは、村民はひとまずほっとしたばかりか、

「早くくたばらねえかな、いっそのこと、あいつ。生きていると、村長やらないにせよ、どんなことでまた村がかじられるか知れねえからよ」などと残念がる者もあった位。

事実、村長はやめても、村農会長、消防組頭、いや、村会へまで出しゃばって、隠然たる存在ではあったのである。

そういう津本新平は今年六十五歳、家柄ではあるが別に財産はなかった。若い頃、剣が自慢で、竹刀の先に面、胴、小手をくくりつけ、近県を「武者修業」して歩いたり、やがて自分の屋敷へ道場を建てて付近の青年に教えたり、自称三段のこの先生は五尺八寸という雄偉なる体躯にものを言わせて、三十歳頃から政治に興味を覚え、そして運動員として乗り出し、この地のいわゆる「猛者」として通るようになったのであった。