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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

線上閱讀犬田 卯《犬田卯短編集 一(こぶ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,259 字 · 96 頁

青空文庫

とその植付だけを強調する……どこで都合したのだ、まさかやみの高いものを手に入れたわけではあるまい。とさらに追求すると、そんなでご助に俺のことが見えるのか、八文銭でも天宝銭でも、とにかく身上切り盛りしている以上、そんなまねはやれたってしないし、たといやったにせよ、嚊らに責任はもたせぬ、というようなことを言って、てんで寄せつけようとしないのであった。

おせきも眠いので、そのまま眠ってしまったが、再び彼女の胸のうちにはもやもやするものが湧き起った。

「畜生、身上切り盛りもねえもんだ。まかり間違って洪水でも来たらどうするんだ。とどのつまりは俺げ降りかかって来るんだねえか――」

おせきはとにかく家付娘として、祖先から伝った屋敷や若干の田畑――作り高の三分の一にも当らなかったが――だけは自分の名儀で所有していた。婿の浩平はその点になると、いわゆる「素っ裸」で、いざという場合には腕まくりでも尻まくりでも出来たのである。

そのことを考えて夫の言動を責めつけようとは思ったが、朝っぱらからぎゃあぎゃあ言い合いをして、この忙しい時節、近所に迷惑をかけるでもあるまいと、彼女はぐっとそれを腹の底の方へ押しやってしまった。