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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁
なあ、どないや? お前かてその間ぐらい機嫌直して可愛がってやりいな。猫は執念深いよってにな。」
いかにも懸引のない真情らしく、そうしんみりと訴えられてみると、それには反対が出来なかった。
「そしたら一週間だっせ。」
「分ってる。」
「手エ出しなさい。」
「何や?」
と云っている隙に、素早く指切りをさせられてしまった。
「お母さん」
それから二三日過ぎた夕方、福子が銭湯へ出かけた留守に、店番をしていた庄造は奥の間へ声をかけながら這入って来ると、自分だけの小さなお膳で食事している母親の側へ、モジモジしながら中腰にかがんだ。
「お母さん、ちょっと頼みがありまんねん。―――」
毎朝別に炊いている土鍋の御飯の、お粥のように柔かいのがすっかり冷えてしまったのを茶碗に盛って、塩昆布を載せて食べている母親は、お膳の上へ背を円々と蔽いかぶさるようにしていた。
「あのなあ、福子が急にリリー嫌いや云い出してなあ、品子んとこへ遣ってしまえ云いまんね。………」
「このあいだ、えらい騒ぎしてたやないか。」
「お母さん知ってなはったんか。」
「夜中にあんな音さすよって、わてびっくりして、地震か思うたわ。