輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁
と云うのでしょう、心配なことはないのでしょうか?」―――と、そう云うように聞えるのであった。でも庄造が、
「心配せんかてええねんで。もう直きお前、お母さんになるねんが。………」
と、そう云って頭を撫でてやると、前脚を膝へ乗せて来て、縋り着くような様子をして、
「ニャア」
と云いながら、彼の言葉を一生懸命理解しようとするかのように、眼の球をキョロキョロさせた。それからもう一度押入の所へ抱いて行って、函の中へ入れてやって、
「ええか、此処にじっとしてるねんで。出て来たらあかんで。ええなあ? 分ってるなあ?」
と、しんみり云って聴かせてから、襖を締めて立とうとすると、「待って下さい、何卒そこにいて下さい」
とでも云うように、又
「ニャア」
と云って悲しげに啼いた。だから庄造もついその声に絆されて、細目に開けて覗いてみると、行李だの風呂敷包みだのいろいろな荷物が積んである押入の、一番奥の突きあたりにある函の中から首を出して、
「ニャア」
と云っては此方を見ている。畜生ながらまあ何と云う情愛のある眼つきであろうと、その時庄造はそう思った。全く、不思議のようだけれども、押入の奥の薄暗い中でギラギラ光っているその眼は、最早やあのいたずらな仔猫の眼ではなくなって、たった今の瞬間に、何とも云えない媚びと、色気と、哀愁とを湛えた、一人前の雌の眼