輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ねこまち

猫町 他十七篇

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《猫町 他十七篇(ねこまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,483 字 · 58 頁

青空文庫

実際また、それより外に推理の仕方はなかったのだ。

夫人は決して、病的な精神の所有者ではなかった。反対に理智の発達した、推理癖のある女性であった。けれども婦人の身として、さすがにこの不思議な出来事は不気味であった。自分のいない留守の間に、或る知らない人物が忍び込んで、居間で何事かをしているということは、考えるだけでも神経を暗くした。

夫人は夢に魘された時のように、厭やな重圧した気分を感じた。だが彼女の推理癖は、どうにもしてこの奇怪な事件から、真の原因を探り出そうと考えた。もし或る人物が、留守にどこかの窓を開けて、そこから闖入して来るとすれば、窓の或るどこかに、コジあけた痕跡が残っているか、でないとしても、多少の指紋が残っているべきはずである。夫人は注意ぶかく調べて見た。だが窓のどこにも、少しの異状がなく、指紋らしきものさえなかった。この点の様子からは、絶対に人の這入った痕跡がないのである。

翌朝起きた時に、彼女は一つの妙案を思いついた。それは部屋のあらゆる隅々へ、人の気づかない色チョークの粉を、一面に薄く敷いておくことである。もし今日も昨日のように、留守に何事かが、起ったらば、すっかり証拠の足跡がついてしまう。