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ねこまち
猫町 他十七篇
萩原 朔太郎
線上閱讀萩原 朔太郎《猫町 他十七篇(ねこまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,483 字 · 58 頁
彼らは何事かを思い詰めると、狂人の如くその一念に凝り固まり、理想に淫して現実を忘却してしまうために、遂には身の破綻を招き、狂気か自殺かの絶対死地に追い詰められる。そこで詩人が歌うように、若き日には物皆悲しく、生きることそれ自体が、既に耐えがたい苦悩なのである。然るに中年期に入って来ると、人は漸くこうした病症から解脱してくる。彼らは主観を捨てないまでも、自己と対立する世界を認め、人生の現実世相を、客観的に傍観することの余裕を得て来るので、彼自身の生きることに、段々味のある楽しみが加わって来る。その上どんな人間でも、四十歳五十歳の年になれば、おのずから相当の蓄財と社会的地位が出来て来るので、一層心に余裕ができ、ゆったりした気持ちで生を楽しむことができるのである。
僕も五十歳になってから、初めてそういう寛達の気持ちを経験した。何よりも気楽なことは、青年時代のように、性慾が強烈でなくなったことである。青年時代の僕は、それの焦熱地獄のベットの上で、終日反転悶々して苦しんだが、今ではもうそんな恐ろしい地獄もない。むしろ性慾を一つの生活気分として、客観的にエンジョイすることの興味を知った。