輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 頁
林さんという医者の低い煉瓦の門が四角くのこっていて、そこに瀬戸ものの表札がわれもせずきれいにのこって居りました。面白いものね。そういう風にしゃんときれいに表札がのこっていたりすると焼けてもその人の命はつつがないという晴々した感じでした。このお医者はこちらの古馴染でわたしも世話になり、日頃電話局の前だからあぶないものだと云っていましたから気にして居りました、見舞ったら一家無事で何よりでした。
十二時頃帰ったら昨日はこちらもお見舞の人が多く、国は三十一日までという所得税の申告書きでねばっていて、到頭わたしは手紙もかけず。ですから今日はうれしいのよ。
「指頭花」が氷結したような工合になって居ります。しかし、氷花の中につつまれて、咲いている不思議な可愛い花の姿は又格別の眺めです。忙しくて、びっくりして、火がボーボーで、でもちらりちらりと燦く霜柱の宮のなかに、ちんまりと暖かそうに、浄らかにおさまっている花を髣髴して、いい心持です。詩の御披露までに氷はとけませんけれど。
二十五日のお手紙に、氷の裡で詩も作れないのが現実とありましたけれども詩の功徳は不思議なものよ。