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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 頁
雄々しい互のやさしさだけが男を活かし女を活かすものです。いろいろ考えていてね、語るに足る対手としての最小限の発達線、進歩線と云われていた言葉を思いおこし、その言葉の底に、やはりそういう厳しいやさしさを脈々と感じました。私はどんなやさしさをもっているだろう、どのようなやさしさをあなたにおくっているだろう、そう考えて、永い間考えていた。威厳と(人間としての)やさしさとが耀き合っていて、自分の人間としての程度が高まれば高まるほど恍惚とするような、そんなやさしさを自分も持っているだろうか。そんなことを永い午後じゅう考えていました。思うに私のやさしさの中には一匹の驢馬が棲んでいる様です。幅の相当ひろい、たっぷりした、持久性のある光の波が、時々この驢馬のガタガタする黒い影で横切られたり、あばれられたりするらしい。しかし、この驢馬はね、消え得るもので、ぐるりの光のつよさと熱度に応じて総体が縮少しつつある。昔から驢馬には女が騎りました。白い驢馬だったそうです。
一月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 慶応大学病院より(封書)〕
一月九日 第四信
六日づけの第一信、きのう着。