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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 頁
つくづく思うけれども、私もかなりの弱虫ね。毎月毎月かかなければならないものがあり、それは其として通ってゆきマイナスばかりでないと、何か心の底に蠢きを感じつつ、やはり、かたい地盤にさわる迄身を沈められないのですもの。そして、モラリストは私の作家をくってゆくのよ。そういう場合だって、作家の生涯から見れば一つの敗北であり、悲劇であり、境遇が人を押し流す力をつよく感じさせるに止まるものです(文学史的に見て、よ)
こんないろいろの点から見て、この間うちの読書は、一生のうちでやはり特別な意味をもって回想されると思います。「マリー・アントワネット」だとか「フーシェ」だとか一見濫読めいていて、それでもずっと一本何かひっぱって、「ケプラー」をよんで、そして「三人の巨匠」で扉に向ったというのは面白いことです。読むものが、直接でない刺戟、思考の刺戟というような役に立って行って、或段階で直接なものにふれ、展開するのは興味があります。読書の神秘とはここに在るのね。
「三人の巨匠」は、ツワイクの一番緻密で芸術的で努力的な作品です。作家をその精神の核の性格においてとらえ描くということは余りやらないが、むずかしく、それ故面白いことです。