輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《生々流転(しょうじょうるてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 297,521 字 · 586 頁
「蝶ちゃんは、僕を大酒飲みのように言うがあれだけ飲んで、事実、飲んだ気はほんの僅かしかないのだ。あの芳ばしい匂い、浸み入る味、陶然とした酔。酒にこれを望みながら僕は滅多にそれに恵まれなくなった。そしてこの頃では飲むそのことがうるさくなって来た。酒。いたずらに胃を張り塞げるために盃の数を上下するあの液体の量感と飲用の煩瑣とを取除いて、而も酒の持つエスプリとニュアンスとだけを需給する、そうした酒は世の中にないものであろうか。
「女にしてもそうだ。詩にしてもそうだ。僕はそれ等が髄の味感に持ち来されるまでの手数や外形に脅威と労苦を感ずるのだ。それだけに彼等からエスプリとニュアンスだけを引き抽いた女や詩を望むようになった。だが、
「死んだ友だちは言った。その人間は既に人間を追い出されかけている。人間から孵化りかけている。人間からふわり/\脱け出しかけている。
「また、その友だちは言った。この人間は文化人の頂上でもあれば現実には滅ぶる人間だ。
「そしてその友だち自身、何の理由もなく、大学へ進む途中に攫われるようにしてある年上の美しい女とあたら秀才の身を心中してしまった」