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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《生死卍巴(せいしまんじどもえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 頁

青空文庫

大岩が行く手にころがっていて、それを巡って向こうへ出たところ、大沼が湛えてあったりもした。

老樵夫に逢った地点から、少なくも二里は歩いたはずだが、一つの人家にも逢わなかった。

(変だな)と茅野雄は思案した。

(道が異ったのではあるまいかな? お城下へ通じている道である以上は、本街道と云わなければならない。本街道なら本街道らしく、たとえまれまれであろうとも、人家が立っていなければならない)

ところが人家は一軒もない。

(おかしいな、おかしい)

しかし老樵夫がああ教えた以上は、やはり高山のお城下へ通う、本街道であるものと認めて、辿って行くべきが至当のようであった。

で、茅野雄は歩いて行った。

人間の不安や心配などに、なんの「時」が関わろうとしよう。間もなく夜となり夜が更けた。星の姿さえ見えないほどに樹木が厚く繁っている。で、四辺が真の闇となり歩こうにも、歩くことが出来なくなった。

(いよいよ野宿ということになった。どうも仕方がない野宿をしよう)

狼の襲来というようなことも、弦四郎の襲来というようなことも、もちろん心にはかかったけれども、それよりも山道を歩いて行って、断崖などを踏みそこなって、深い谿などへころがり落ちて、死んでしまうかもしれないという、そういう不安の方が茅野雄にとっては、緊急の不安であったので、野宿を